
 |
葵のもとで
08.03.31 掲載
|
宿命受け入れ殿走る
金曜の夜、東京・丸の内の会社を出ると、高速で北へ向かう。午前1時、水戸に到着。日曜の夜には、また東京へ。
水戸徳川家15代目の徳川斉正(なりまさ)(50)がそんな生活を続けて22年になる。年中無休の「参勤交代」。「現代の殿様」は週末だけで年間2万キロを走る。
病死した父・圀斉(くになり)を継いだのは28歳の時だ。父はその世界では知られた洋ランの研究家。5千鉢のランを育て、赤い革のベッドで寝る趣味人だった。穏やかな人だったが、自ら始めた水戸徳川家の所蔵品を収める博物館については厳しかった。
「お前は(博物館を運営する)財団の職員ではない」。所蔵品を収めた蔵には入れてもらえず、展覧会は「金を払え」と言われた。小学校からは母と弟とともに東京で暮らしたせいか、父子らしい関係はほとんどなく、斉正は月に一度、圀斉の上京の折に「いらっしゃい」と迎えるのがならいだった。
15代を名乗るようになっても、斉正には蔵の中身も財団の運営も地元の付き合いもわからなかった。日本史の知識は学校で習った程度。講演を頼まれると原稿を丸覚えし、質問は「調べておきます」と逃げた。
(以下続く)
◇
|
最新記事をご覧になりたい方は「会員登録」ボタンから、
アスパラクラブへの入会手続き(無料)をお願いします。
会員の方は「ログイン」ボタンから、お進みください。
宿命受け入れ殿走る
そして再生の仲介者に
父の最期の言葉
刻めぬ名前
戦力外通告
運命の雪国
兄
無実を信じる
光失って
銀座・卯波の3代
途絶えた投稿
世田谷事件
欠けた三角定規
ありがとうの手紙
息子の縁結び
パパの頭髪物語
性を超えて
「そらと」
写真帳
265日
母なる海
無言の記憶
三姉妹からの贈り物
千の風になって
ある少年の更生
日本一短い手紙
つま恋
|
|