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だめよぉ義太夫だけじゃ
私は声質がやや上っ調子で、高い声は出やすいが低い声が出にくい。若い頃は、高座で声が上滑りすることもあった。「それなら義太夫をやってみたら」と勧めてくださる先輩がいて、大塚のお師匠さんのところへ通うようになった。真打ちになる前、二十歳そこそこだったろうか。
落語にも「寝床」「軒づけ」「胴乱の幸助」「豊竹屋」など義太夫が出てくる噺(はなし)がある。たいていは大げさに語って笑いをとる趣向だが、本来義太夫には、ドラマチックな人間模様を描く悲しい物語が多い。「義経千本桜」「曽根崎心中」「冥途の飛脚」……。語るときに縁起をかついで塩をまいたりする。粋な新内や小唄がロックンロールなら、義太夫は渋いブルースといったところか。
(2008年5月8日付朝日新聞東京本社夕刊から)
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